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新NISAの非課税保有限度額とは?1800万円の枠再利用ルールを徹底解説

2025 12/12
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新NISAガイド 新NISAと成長投資枠
2025年10月25日2025年12月12日
新NISAの非課税保有限度額における「枠の再利用」ルールを図解したインフォグラフィック。売却した枠が翌年復活する様子を矢印で示しており、この記事のテーマを象徴する一枚。

「新NISAで順調に利益が出始めたけど、このまま持ち続けていいの?」
「もし今売ったら、せっかくの非課税枠がもったいない…」

新NISAでの資産運用が軌道に乗り始めると、次に多くの人が直面するのが、この「出口戦略」に関する悩みです。特に、新NISAから導入された「生涯非課税保有限度額」や「枠の再利用」といったルールは複雑で、完全に理解できている人はまだ少ないかもしれません。

しかし、ご安心ください。この記事を読めば、新NISAの出口戦略の鍵となる新NISAの非課税保有限度額と「枠の再利用」ルールが完全に理解できます。そして、ライフイベントに合わせた柔軟な資産活用と、生涯にわたる非課税投資を両立させる自信が手に入ります。

この記事では、ルールの基本はもちろん、具体的な計算例、よくある失敗談、さらには住宅購入や教育資金のための活用シナリオまで、あなたの疑問と不安に徹底的に答えます。金融庁の公式情報や税理士など専門家の見解に基づき、どこよりも分かりやすく、正確な情報をお届けします。

この記事でわかること

  • 新NISAの生涯非課税枠1,800万円の正確な仕組み
  • 売っても枠が復活する「再利用ルール」の全て
  • 「簿価残高」とは何か、一発で理解できる
  • ライフイベントに合わせた具体的な売却&再投資シナリオ
  • やりがちな失敗例から学ぶ、非課税枠管理の注意点

※この記事では「非課税保有限度額と枠の再利用」に特化して解説します。そもそも「新NISA」の全体像を正確に把握したい方は、まずはこちらの総合解説記事をご覧ください。
→ 新NISAとは?成長投資枠と非課税保有限度額の仕組みを徹底解説

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目次

新NISAの非課税保有限度額とは?1,800万円の生涯投資枠を理解する

ここでは、この記事の核心である「非課税保有限度額」の定義と、それが「簿価残高」で管理されるという最重要ルールを解説します。この仕組みを理解することが、新NISAを最大限に活用するための第一歩です。

非課税保有限度額とは、生涯にわたって非課税で投資できる元本の上限

新NISAの非課税保有限度額とは、そのNISA口座で生涯にわたって非課税で保有できる元本の上限額のことです。この上限額は1,800万円に設定されています。(出典: 金融庁「NISAを知る」)

年間の投資上限額(360万円)とは別に設けられた、生涯通じての「非課税投資の総量」と考えると分かりやすいでしょう。

自分のペースで投資を行い、購入した商品の元本(取得価額)の合計が1,800万円に達するまで、非課税の恩恵を受け続けることができます。

【最重要】時価ではなく「簿価残高」で管理されるとはどういう意味か?

この1,800万円の枠を管理する上で、最も重要なルールが「簿価残高管理」です。

これは、NISA口座内の資産を、その時々の価格(時価)ではなく、すべて購入した時の価格(簿価)で評価・管理するという仕組みです。NISAの非課税枠は、この購入価格の合計(簿価)が1,800万円を上限として計算されます。

【用語解説】簿価(ぼか)
簿価とは「取得価額」とも呼ばれ、株式や投資信託などを購入したときの価格のことです。例えば、1株1,000円の株を100株買えば、簿価は10万円になります。

このルールのおかげで、例えば1,000万円で購入した商品が2,000万円に値上がりしても、あなたの非課税枠の消費額は購入時の1,000万円のままです。

値上がりして資産価値が増えても、枠の使用額は変動しないため、長期投資のメリットを最大限に享受できるのです。(出典: マネイロ「図でわかる簿価残高方式」)

1,800万円の内訳:成長投資枠は1,200万円まで

生涯非課税枠1,800万円には、一つだけ内数としての制限があります。それは、1,800万円のうち、成長投資枠で利用できるのは最大で1,200万円までというルールです。

生涯枠1,800万円をすべて成長投資枠で使い切ることはできません。

ただし、これは「つみたて投資枠で最低600万円使わなければならない」という意味ではなく、あくまで成長投資枠の上限が1,200万円と定められている、ということです。


新NISAの枠再利用(復活)ルールを3ステップで徹底解説

ここでは、新NISA最大の革命とも言われる「枠の再利用」の仕組みについて、具体的なステップを用いて、誰にでも分かるように解説します。このルールを使いこなせることが、柔軟な資産計画の鍵となります。

ステップ1:商品を売却する

まず、NISA口座で保有している商品を売却します。売却する理由は、利益を確定させるため、別の商品に乗り換えるため、あるいはライフイベントで現金が必要になったため、など様々でしょう。

このとき、売却によって得た利益(譲渡益)は全額非課税となり、確定申告も不要です。

ステップ2:売却した商品の「簿価分」の枠が空く

商品を売却すると、その商品が使っていた非課税枠が空きます。ここで重要なのは、空くのは売却時の価格(時価)ではなく、あくまで購入した時の価格(簿価)分の枠であるという点です。

ステップ3:翌年以降、空いた枠が復活し再投資できる

そして、空いた非課税枠は、売却した年の翌年1月1日以降に「復活」し、再び新しい投資に利用できるようになります。売却した当年中に復活枠で再投資することはできないため、注意が必要です。(出典: A-IFAオンライン「非課税投資枠は復活する?」)

シミュレーション:100万円で買った株が150万円に!いつ、いくら枠が戻る?

具体例で流れを確認しましょう。

  1. 2025年: 100万円でA社の株を購入(生涯枠の消費額は100万円)
  2. 2027年: A社の株が150万円に値上がりしたため、全株を売却
    • 利益の50万円は非課税で受け取る
    • この時点で、A株が使っていた簿価100万円分の枠が「空き枠」となる
  3. 2028年: 翌年1月1日に、空いていた100万円分の枠が完全に復活
    • あなたの生涯枠の消費額はゼロに戻る
    • 年間投資上限360万円の範囲内で、復活した枠を使って新たな投資が可能になる

新NISA非課税保有限度額の賢い使い方!ライフイベント別活用シナリオ

この「枠の再利用」ルールは、私たちのライフプランに大きな柔軟性をもたらします。ここでは、具体的な活用シナリオを3つご紹介します。

シナリオ1:30代で「住宅購入」の頭金に!売却と再投資の計画

  • 状況: 35歳、夫婦。NISAで順調に資産が増え、簿価800万円、時価1,200万円に。そろそろマイホームが欲しくなり、頭金500万円が必要になった。
  • アクション:
  1. NISA口座の資産のうち、利益が出ている投資信託などを500万円分だけ売却し、住宅購入の頭金に充てる。
  2. 売却した資産の簿価(仮に400万円とする)分の枠が、翌年以降に復活する。
  3. 住宅ローン返済が落ち着いた数年後から、復活した400万円の枠を使って、再び積立投資を再開する。

ポイント: 枠の復活があるため、将来の大きな出費のために投資をためらう必要がありません。必要な時に必要なだけ現金化し、また後から非課税投資を再開できるのが強みです。

シナリオ2:40代で「子供の教育資金」を準備!計画的な一部売却

  • 状況: 48歳。子供が大学に進学し、入学金と初年度の学費として300万円が必要に。NISA口座の資産は簿価1,500万円、時価2,200万円まで成長。
  • アクション:
  1. 大学の費用が必要になるタイミングに合わせて、毎年100万円ずつ、3年間にわたってNISA資産を計画的に売却する。
  2. 売却した簿価分の枠は毎年翌年に復活するが、すぐには使わない。
  3. 子供が大学を卒業し、教育費の負担がなくなった後、復活した枠を使って老後資金のための投資を再加速させる。

ポイント: 一度に全額売却するのではなく、必要な分だけを計画的に取り崩すことで、残りの資産の運用を続けながら、非課税の恩恵を受け続けることができます。

シナリオ3:60代で「老後資金」に!毎年一定額を取り崩しながら運用を続ける方法

  • 状況: 65歳、定年退職。NISA口座の資産は簿価1,800万円、時価3,000万円。公的年金だけでは少し心もとないので、毎年120万円ずつ生活費として使いたい。
  • アクション:
  1. NISA口座の資産を毎年120万円ずつ計画的に売却し、生活費に充てる。
  2. 売却した資産の簿価(仮に毎年80万円とする)分の枠は翌年復活するが、追加の投資は行わない。
  3. 残りの資産(時価2,880万円)は非課税で運用を続け、さらなる成長を目指す。

ポイント: 新NISAは非課税保有期間が無期限のため、売却せずに運用だけを続けることも可能です。必要な分だけを取り崩し、残りは非課税で複利運用させるという「自分年金」のような使い方ができます。


新NISAの非課税枠で失敗しないための注意点とよくある質問

ここでは、読者が陥りがちな誤解や失敗例を先に提示し、注意喚起を行います。正しい知識を身につけ、非課税メリットを最大限に活用しましょう。

失敗例1:「売却益の分まで枠が復活する」という誤解

最も多い誤解の一つが、「100万円で買った株が150万円になったら、150万円分の枠が復活する」と考えてしまうケースです。

正しくは、復活するのはあくまで購入時の価格である「簿価」の100万円分だけです。この違いを理解していないと、将来の投資計画にズレが生じます。

失敗例2:「売却後すぐに再投資できる」という勘違い

枠が復活するタイミングは、売却した年の「翌年」です。利益が出たからといって、同じ年のうちに売買を繰り返して非課税枠を何度も使う、といったことはできません。

新NISAは短期売買(デイトレードなど)には向いていない制度だと心得ましょう。

Q
Q:年間投資上限360万円も、売却したら復活しますか?
A

A: いいえ、復活しません。枠の再利用(復活)の対象となるのは、生涯にわたる「非課税保有限度額(1,800万円)」のみです。

その年一度しか使えない「年間投資上限(360万円)」は、たとえ商品を売却しても復活することはありません。また、使い切らなかった年間投資枠を翌年に繰り越すこともできません。

Q
Q:NISA口座の損失は、特定口座の利益と損益通算できますか?
A

A: いいえ、できません。NISA口座は、利益が非課税になる代わりに、損失も「なかったもの」として扱われます。

そのため、NISA口座で出た損失を、他の課税口座(特定口座や一般口座)で出た利益と相殺して、税金の負担を軽くする「損益通算」はできません。(出典: 国税庁タックスアンサーNo.1474)

Q
Q:金融機関を変更した場合、非課税枠はどうなりますか?
A

A: 非課税枠は国によって一元管理されているため、金融機関を変更しても、それまで使った枠の情報はきちんと引き継がれます。

A証券で500万円分の枠を使っていた場合、翌年B証券にNISA口座を移しても、生涯枠の残りは1,300万円からスタートします。

▼次のステップ:旧NISAとの違いを理解する
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まとめ:新NISAの非課税保有限度額を理解し、柔軟な資産計画を立てよう

この記事では、新NISAの最も重要なルールである「非課税保有限度額」と「枠の再利用」について、詳しく解説してきました。

最後に、本記事の重要なポイントを振り返りましょう。

本記事のポイント

  • 生涯非課税枠は1,800万円で、購入価格である「簿価」で管理される
  • 簿価管理なので、含み益で枠が消費されることはない
  • 商品を売却すると、簿価分の枠が「翌年以降」に復活する
  • 枠の復活は、ライフイベントに合わせた柔軟な資産活用を可能にする
  • 売却益の分まで枠が復活するわけではない
  • 売却したその年に枠を再利用することはできない
  • 年間投資上限360万円は、売却しても復活しない
  • NISA口座の損失は損益通算できない
  • 出口戦略を意識した長期的な計画が重要

この「枠の再利用」ルールを正しく理解することで、新NISAは単なる非課税制度から、人生のあらゆるステージに寄り添う、柔軟で強力な資産管理ツールへと進化します。

なお、金融庁は将来的に「当年中の再利用」を認める制度改正も検討しており、今後さらに柔軟性が高まる可能性があります。もう、「枠がもったいないから売れない」と悩む必要はありません。この記事を参考に、あなた自身のライフプランに合わせた、賢い資産計画を立ててみてください。

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この記事を書いた人

カナメ | 金融リサーチ・ライター / 資産形成実践家のアバター カナメ | 金融リサーチ・ライター / 資産形成実践家

金融メディア執筆歴10年超。「株価がなぜ動いたか」をデータに基づき言語化する専門家です。
個人としても海外ファンド・株式市場での長期運用を10年以上継続中。投資家の視点とライターのリサーチ力を活かし、金融庁・取引所等の一次情報をベースにした、中立で精度の高い市況解説を行います。

※本サイトの内容は投資助言を目的としたものではなく、一次情報に基づく中立的な情報提供を目的としています。

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カナメ
金融リサーチ・ライター / 資産形成実践家
金融メディア執筆歴10年超。「株価がなぜ動いたか」をデータに基づき言語化する専門家
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