「新NISAで金投資を始めた方がいいの?」
「メリットは聞くけど、デメリットや具体的なやり方はよく分からない…」
そんな疑問を抱いていませんか?
歴史的な円安やインフレが進む中、金は「守りの資産」として注目を集めています。しかし、現物の金は対象外だったり、ETFや投資信託によってコストやリスクが大きく違うなど、制度を正しく理解しないと損をする可能性もあります。
この記事では、新NISAでの金投資のメリット・デメリットから、具体的な商品の選び方、失敗しないポートフォリオ比率までを徹底解説。
読み終える頃には、あなた自身にとって「金投資は必要かどうか」、そして「どう組み込むべきか」が明確になります。
この記事でわかること
- 新NISAで金投資を始めるべきか、メリット・デメリットが明確にわかる
- 手数料で損しない、あなたに最適な金ETF・投資信託の選び方がわかる
- 経済危機にも強い、年代別の最適なポートフォリオ比率がわかる
- 初心者が陥りがちな失敗パターンと、その具体的な対策がわかる
そもそも新NISAで「金投資」はできるのか?制度の基本を解説
ここでは、新NISAで金投資を始める上での基本的なルールと仕組みについて、分かりやすく解説します。制度を正しく理解することが、賢い投資への第一歩です。
結論:新NISAで金(ゴールド)への投資は可能
結論から言うと、新NISAの制度を使って金(ゴールド)へ投資することは可能です。
ただし、新NISAで投資できる金(ゴールド)は、上場ETFや投資信託など一定の条件を満たす金融商品に限定されます。 宝飾店などで購入する地金やコインといった現物は対象外ですので、注意が必要です。
主な投資先は「金ETF」と「金投資信託」の2種類
新NISAで投資対象となるのは、主に以下の2種類の金融商品です。
- 金ETF(上場投資信託): 金価格に連動するように運用される、証券取引所に上場している投資信託です。株式と同じように、リアルタイムで価格が変動し、好きなタイミングで売買できます。
- 金投資信託: 専門家が投資家から集めた資金で、金ETFなどに投資・運用する金融商品です。1日1回算出される基準価額で取引され、少額からの積立投資に向いています。
これらの金融商品を通じて、間接的に金へ投資するのが新NISAの基本的なスタイルです。(出典: 楽天証券)
「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の違いと対象商品
新NISAには年間投資上限額が異なる2つの枠があります。
- 成長投資枠(年間240万円まで): 上場株式や投資信託など、比較的幅広い商品が対象です。金ETFや多くの金投資信託は、主にこの成長投資枠で購入することになります。
- つみたて投資枠(年間120万円まで): 金融庁が定めた「長期・積立・分散投資に適した」基準を満たす、低コストな投資信託のみが対象です。(出典: 金融庁)
現状、一般的な金ETFや金投資信託は、金融庁が指定する「つみたて投資枠」の対象商品リストにはほとんど含まれていません。そのため、基本的に金投資は「成長投資枠」を活用すると覚えておきましょう。(出典: 投資信託協会)
注意点:現物の金(地金や金貨)は新NISAの対象外
ここで重要な注意点があります。新NISAの非課税メリットを受けられるのは、あくまで金融商品への投資に限られます。
そのため、宝飾店や貴金属店などで購入する金地金(インゴット)や金貨といった「現物の金」は、新NISAの対象外です。これらを売却して利益が出た場合は、通常通り譲渡所得として課税対象となるため、混同しないようにしましょう。(出典: 三菱UFJ国際投信)
なぜ人気?新NISAで金投資を始める4つのメリット
ここでは、多くの投資家が新NISAを活用して金投資に注目する理由、つまり具体的なメリットを4つのポイントに絞って解説します。
① 売却益が非課税になる(最大のメリット)
通常、投資で得た利益(売却益や分配金)には約20%の税金がかかります。しかし、新NISA口座内で得た利益は完全に非課税になります。
例えば、金ETFに100万円投資し、120万円に値上がりした時点で売却したとします。通常であれば利益20万円に対して約4万円の税金がかかりますが、新NISAなら20万円がそのまま手元に残ります。
この非課税メリットは、効率的な資産形成を目指す上で非常に大きなアドバンテージです。
② 少額から始められる(月々1,000円からでも可能)
「金投資」と聞くと、まとまった資金が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、新NISAで投資信託を利用する場合、多くの金融機関で月々1,000円や1万円といった少額から積立投資が可能です。
現物の金を購入するとなると数十万円単位の資金が必要になることが多いですが、金融商品なら無理のない範囲でコツコツと始められるため、投資初心者でも安心です。
③ 資産を守る「守りの資産」としての役割(インフレ・円安対策)
金は「守りの資産」と呼ばれ、特に経済が不安定な状況でその価値を発揮します。
- インフレ対策: インフレ(物価上昇)が起こると、現金の価値は実質的に目減りしてしまいます。一方、金そのものに価値があるため、インフレに強い資産とされています。
- 円安対策: 金の価格は世界的にドル建てで取引されています。そのため、円安が進むと、円建ての金価格は上昇する傾向にあります。
歴史的な円安やインフレが進む現代において、資産の一部を金で保有することは、資産価値の目減りを防ぐ有効な手段となります。(出典: ワールド・ゴールド・カウンシル)
④ 現物投資に比べて手数料が安く、管理が楽
現物の金を購入・保有する場合、購入時の手数料(スプレッド)や、自宅や貸金庫での保管コスト・盗難リスクが伴います。
一方、金ETFや投資信託は、保有中にかかるコスト(信託報酬)に注目が必要です。安いものでは年率0.1%台からありますが、代表的な金ETF(例: 純金上場信託1540)では0.4%前後、商品によっては1%を超えるものまで幅広く存在します。 それでも、現物保有に比べると管理が楽で、トータルコストを抑えやすいのが大きなメリットです。(出典: ピクテ投信)
やる前に知っておくべき4つのデメリットと注意点
メリットがある一方で、もちろんデメリットや注意点も存在します。ここでは、新NISAで金投資を始める前に必ず理解しておくべき4つのポイントを解説します。
① 配当や金利を生まない(複利効果が期待できない)
株式投資における配当金や、銀行預金の利息のように、金は保有しているだけで利益(インカムゲイン)を生むことはありません。
利益を得る方法は、購入した価格よりも高い価格で売却すること(キャピタルゲイン)のみです。配当を再投資して資産を雪だるま式に増やしていく「複利効果」が期待できない点は、長期的な資産形成において大きなデメリットと言えます。(出典: Money Canvas BK.MUFG)
② 価格変動リスク(安全資産でも元本保証ではない)
金は「安全資産」と呼ばれますが、価格が常に安定しているわけではありません。世界の経済情勢や金融政策によって価格は日々変動しており、もちろん元本保証ではありません。
購入したタイミングによっては、価格が下落し、元本割れとなる可能性も十分にあります。安全資産という言葉のイメージだけで「絶対に損をしない」と考えるのは危険です。
③ 為替変動リスク(円高局面では円建て価格が下落)
金の国際価格は米ドル建てで決まります。そのため、私たちが日本円で購入する金関連商品は、為替レートの変動から大きな影響を受けます。
- 円安になれば、円建ての金価格は上昇しやすくなります。
- 逆に円高になれば、国際価格が変わらなくても、円建ての金価格は下落してしまいます。
特に海外の金ETFに投資する場合、この為替リスクは常に意識しておく必要があります。
④ 手数料(信託報酬)が商品によって大きく異なる
金ETFや投資信託は、保有している間「信託報酬」という手数料が毎日かかります。この手数料は金融商品によって大きく異なり、安いものでは年率0.1%台、高いものでは1%を超えるものも存在します。
一見すると小さな差に思えるかもしれませんが、このコスト差は長期的に見るとリターンに大きな影響を与えます。商品を選ぶ際は、必ず信託報酬を比較検討することが重要です。(出典: ダイヤモンドZAi)
【実践編】新NISAでの金投資、失敗しない金融商品の選び方
ここでは、数ある金融商品の中から、自分に合ったものを選ぶための具体的なステップとチェックポイントを解説します。
ステップ1:「金ETF」か「金投資信託」か、自分に合う方を選ぶ
まずは、どちらのタイプの商品に投資するかを決めましょう。それぞれの特徴は以下の通りです。
- 金ETFが向いている人:
- 株式投資の経験がある
- リアルタイムの価格を見ながら、自分の判断で売買したい
- 比較的まとまった金額で投資したい
- 金投資信託が向いている人:
- 投資初心者
- 少額からコツコツ積立投資をしたい
- 売買のタイミングを自分で判断するのが難しい
ご自身の投資スタイルや経験に合わせて、どちらが向いているか考えてみましょう。
ステップ2:最重要チェック項目「信託報酬(手数料)」を比較する
投資する商品のタイプを決めたら、次に最も重要な「信託報酬」を比較します。前述の通り、このコストは長期的なリターンを大きく左右します。
例えば、信託報酬が年0.2%の商品と0.7%の商品で100万円を10年間運用した場合、手数料だけで約5.2万円もの差が生まれるという試算もあります。(出典: note)
各証券会社のウェブサイトや、投資情報サイトで信託報酬を比較し、できるだけ低コストな商品を選ぶことが、賢い投資の第一歩です。
ステップ3:「為替ヘッジ」のあり・なし、どちらを選ぶべきか?
金関連の投資信託には、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2種類があります。
- 為替ヘッジなし: 為替レートの変動をそのまま受けます。円安になれば利益が増えますが、円高になると損失が出ます。
- 為替ヘッジあり: 為替変動のリスクを避けるための仕組みですが、その分「ヘッジコスト」が別途かかります。
どちらが良いかは一概には言えませんが、一つの考え方として、「円安による恩恵も期待したい」「長期的な視点でコストを抑えたい」と考えるなら「ヘッジなし」、「とにかく為替の変動リスクを避けたい」と考えるなら「ヘッジあり」が選択肢になります。(出典: ピクテ投信)
【コラム】主要ネット証券(SBI・楽天)で買える代表的な銘柄
- SBI証券: 「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(ヘッジなし)」は業界最安水準の信託報酬で人気です。
- 楽天証券: 「楽天・ゴールド・ファンド」や、各種金ETFの取り扱いが豊富です。
- 代表的な金ETF: 「純金上場信託(金の果実)」(銘柄コード:1540)は国内で広く取引されていますが、信託報酬は0.44%と最安水準ではありません。コストを重視するか、流動性を重視するかで選択が変わります。
これらの証券会社では、様々な金関連ETFや投資信託を比較検討できます。
あなたのポートフォリオに金は必要?年代別の推奨比率と戦略
ここでは、金投資を資産全体の中でどう位置づけるか、年代別の具体的なポートフォリオ戦略を解説します。ただし、これらはあくまで一般的なモデルケースであり、最終的にはご自身の資産状況やリスク許容度に応じて判断することが最も重要です。
なぜ金はポートフォリオの「守り」を固めるのか?(経済危機での実績)
金は、株式などのリスク資産とは異なる値動きをする傾向があります。特に、リーマンショックやコロナショックといった経済危機の際には、株価が大きく下落する一方で、金の価格は「安全資産」として上昇しました。(出典: ダイヤモンドZAi)
このように、ポートフォリオに金を組み入れておくことで、市場全体がパニックになった際に資産全体の値下がりを和らげる「クッション」のような役割が期待できます。
【20代〜30代・積極型】資産の5%を目安に、将来へのリスクヘッジ
20代〜30代は、まだ長期的な時間を見方につけて積極的にリターンを狙える時期です。そのため、ポートフォリオの大部分は株式などの成長資産に振り向け、資産全体の5%程度を目安に金を組み入れるのが一つの考え方です。
これにより、積極的な運用を行いつつも、万が一の経済危機に対する「保険」として資産の安定性を高めることができます。
【40代〜50代・バランス型】資産の10%前後で、守備力を強化
40代〜50代は、資産形成の中盤から後半にあたり、これまで築いてきた資産を守りつつ、安定的に増やしていくことが重要になります。
資産の10%前後を金に配分することで、ポートフォリオの守備力を強化し、市場の変動に対する耐性を高める戦略が推奨されます。(出典: Money Bu JPX)
【60代以降・安定型】資産の15%超も視野に、資産を守り抜く
60代以降は、これから資産を大きく増やすことよりも、インフレなどから資産価値を守り、安定的に活用していくフェーズに入ります。
資産の15%以上を金のような安定資産に振り分けることも視野に入れ、資産の目減りを防ぎ、守りを固める運用が中心となります。
世界のプロ(機関投資家)はどう考えている?
日本の年金基金であるGPIFは、株式や債券といった伝統的な資産を中心としたポートフォリオを組んでおり、現時点で金を直接的には保有していません。(出典: GPIF)
一方で、海外の年金基金など世界の機関投資家の間では、リスク分散やインフレ対策の一環として、ポートフォリオの2%〜10%を金に投資する動きが進んでいます。プロの世界でも、金の「守りの資産」としての価値が認められていると言えるでしょう。(出典: ワールド・ゴールド・カウンシル)
【過去の教訓】金投資で初心者が陥りがちな失敗談と対策
ここでは、過去の事例から、初心者が陥りがちな失敗パターンとその対策について学びます。先人たちの失敗から学ぶことは、あなたの資産を守る上で非常に重要です。
失敗談1:ニュースを見て焦って購入「高値掴み」の罠
金価格が連日最高値を更新している、といったニュースが流れると、「乗り遅れてはいけない」と焦って購入したくなるのが人間の心理です。しかし、これが典型的な失敗パターンである「高値掴み」に繋がりやすいのです。
熱狂的な雰囲気の中で一括投資をしてしまうと、その後の価格調整で大きな含み損を抱えてしまう可能性があります。
失敗談2:短期的な値動きに一喜一憂「パニック売り」の損失
金価格は日々変動します。購入後に価格が下落すると、「もっと下がるかもしれない」という不安から、慌てて売却してしまう「パニック売り(狼狽売り)」も初心者に多い失敗です。
特に底値圏で売ってしまい、その後の価格回復の恩恵を受けられないというケースは後を絶ちません。
2013年「ゴールド・ショック」から学ぶべきこと
2013年、金価格が約30%も急落する「ゴールド・ショック」が起こりました。この時、多くの個人投資家がパニックに陥り、金を売却して大きな損失を出しました。
しかし、この教訓から学ぶべき最も重要なことは、その後、金価格は数年かけて回復し、さらに高値を更新していったという事実です。短期的な暴落に動揺せず、長期的な視点を持つことの重要性を示しています。(出典: BrandReValue)
失敗しないための鉄則:長期・積立・分散を貫く
これらの失敗を避けるための最も有効な戦略は、投資の王道である「長期・積立・分散」を徹底することです。
- 長期: 短期的な価格変動に惑わされず、5年、10年といった長い目で見る。
- 積立: 毎月決まった額を買い続けることで、購入価格を平準化し、高値掴みのリスクを避ける(ドルコスト平均法)。
- 分散: 資産を金だけに集中させるのではなく、株式など他の資産と組み合わせて持つ。
新NISAの金投資に関するよくある質問
最後に、新NISAでの金投資に関して、初心者の方が抱きがちな細かい疑問についてQ&A形式でお答えします。
- QQ1: 結局、現物投資とどっちがいいの?
- A
A1: 税金の面(新NISAは非課税)や手数料の安さ、管理の手軽さを考えると、投資初心者の方はまず新NISAでの金融商品投資から始めることを強くおすすめします。実物資産を持つ安心感を重視する場合に、現物投資を補完的に検討するのが良いでしょう。
- QQ2: 金投資で損することはありますか?
- A
A2: はい、損をする可能性は十分にあります。 金価格は日々変動しており、元本保証ではありません。購入した価格よりも値下がりしたり、円高が進んだりすると、元本割れのリスクがあります。
- QQ3: 毎月いくらくらいから始めるのがおすすめですか?
- A
A3: 多くのネット証券では月々1,000円や1万円といった少額から積立が可能です。まずはご自身の家計に負担のない、無理のない範囲の金額から始めて、慣れてきたら徐々に金額を調整していくのが良いでしょう。
- QQ4: 金価格が下がったらどうすればいいですか?
- A
A4: 「長期・積立」を前提としている場合、価格の下落は「安く買えるチャンス」と捉えることができます。慌てて売却するのではなく、当初の計画通りコツコツと買い続けることが、将来的なリターンに繋がる重要な戦略です。
まとめ:新NISAでの金投資を成功させるためのポイント
この記事では、新NISAを活用した金投資について、メリット・デメリットから具体的な始め方、注意点までを網羅的に解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
本記事のポイント
あなたが次に取るべきアクション
まずはご自身の資産状況とリスク許容度を確認し、金投資に回す予算を決めてみましょう。そして、本記事を参考に、SBI証券や楽天証券などで具体的な商品を比較検討することから始めてみてください。
正しい知識を身につけ、長期的な視点を持つことが、新NISAでの金投資を成功に導く鍵となります。
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