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【金の価格の決め方】なぜ毎日価格が変わる?誕生から国内価格決定までの全プロセスを完全ガイド

光沢のある金のインゴットとグラフのアイコンが描かれた画像。この記事のテーマである「金 価格 決め方」のプロセスを象徴する一枚。 金価格の仕組み
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「金の価格がまた過去最高値を更新」といったニュースを目にするたび、

男性A
男性A

「この価格は一体誰がどうやって決めているんだろう?」

と疑問に思ったことはありませんか。せっかくの資産運用、その根幹をなす価格決定の仕組みを理解せずに進めるのは、少し不安ですよね。

編集長・カナメ
編集長・カナメ

この記事では、そんなあなたの疑問を解消するため、金が鉱山で採掘されてから、私たちの手元に届くまでの価格決定の全プロセスを、3つのステップで徹底的に解き明かします。

世界の基準となる「ロンドン市場」の仕組み、日本独自の「山元建値」、そして価格を大きく左右する「為替レート」の関係性まで、網羅的に解説します。LBMAや日本銀行などの公的データに基づき、専門的な内容も分かりやすく解説するのでご安心ください。

この金の価格の決め方を一度理解すれば、日々のニュースの裏側が明確になり、より賢い判断ができるようになります。複雑に見える金の価格決定プロセスが、一本の線で繋がる体験をぜひご期待ください。

この記事でわかること

  • 金価格が決まる「誕生→市場→国内」の全工程
  • 世界基準「ロンドン市場(LBMA)」の役割
  • 日本独自の価格「山元建値」の仕組み
  • なぜ円安で金価格が上がるのか、計算式で納得
  • ニクソン・ショックが与えた歴史的な影響
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  1. 【歴史の転換点】ニクソン・ショックとは?現代の金価格変動はここから始まった
    1. 金とドルが切り離された歴史的事件「ニクソン・ショック」
    2. なぜ断行された?背景にある米国の経済事情
    3. その後どうなった?変動相場制への移行と金価格の動き
  2. 3ステップで理解する!金の価格が決まるまでの全プロセス
    1. 金価格の「一生」を追いかける3つのステージ
      1. ステップ1:【誕生の価格】国内で生まれる「山元建値」
      2. ステップ2:【市場の価格】世界が決める「国際価格」
      3. ステップ3:【国内の価格】私たちが目にする「円建て価格」
  3. ステップ1:日本独自の源流「山元建値」は誰がどう決める?
    1. 山元建値とは?国内大手メーカーが示す基準価格
    2. なぜ必要?国際価格だけではダメな理由
    3. 代表的な企業「住友金属鉱山」と「菱刈鉱山」
  4. ステップ2:世界の基準「ロンドン市場」での価格決定の仕組みを徹底解説
    1. なぜロンドン?歴史が育んだ世界最大の金市場
    2. 価格決定の心臓部「LBMA(ロンドン貴金属市場協会)」とは
    3. 1日2回開催!現在の「LBMA金価格オークション」のプロセス
    4. かつての不正の温床?「ゴールドフィキシング」からの変化
  5. ステップ3:計算式で納得!為替相場が「円建て価格」に与える影響
    1. 計算の前に知るべき2つの国際ルール
      1. 重量の単位「トロイオンス」とは? (1トロイオンス = 31.1035g)
      2. 為替レートの種類「TTS」とは? (仲値との違い)
    2. 【実践】ドル建て国際価格から円建てグラム単価への換算式
    3. シミュレーション:円安が金価格を押し上げるメカニズム
  6. 金価格はなぜ動く?価格に影響を与える5つの変動要因
    1. 要因1:金利(特に米国の政策金利)
    2. 要因2:為替相場(ドル/円)
    3. 要因3:世界情勢(地政学リスク)
    4. 要因4:インフレ懸念
    5. 要因5:需給バランス
  7. 金の価格決定に関するよくある質問(FAQ)
  8. まとめ:金の価格はグローバルな仕組みと国内の要因で決まる
    1. 金の価格の決まり方【総復習】
    2. この知識をどう活かすか
    3. ▼ 金価格の決め方に関連する記事

【歴史の転換点】ニクソン・ショックとは?現代の金価格変動はここから始まった

ここでは、現代の金価格変動の歴史的な出発点となった「ニクソン・ショック」について、その背景と金価格への影響を解説します。

金とドルが切り離された歴史的事件「ニクソン・ショック」

1971年8月15日(米国時間)、当時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンが突如として発表したのが「ニクソン・ショック」です。

これは、米ドルと金の兌換(だかん)停止、つまり「1オンス=35ドル」という固定レートでの金とドルの交換を一方的に停止するというものでした。

この宣言は「ドル・ショック」とも呼ばれ、第二次世界大戦後の国際通貨体制である「ブレトンウッズ体制」を事実上崩壊させ、各国通貨は固定相場制から変動相場制へと移行する歴史的な転換点を迎えました。(出典: Wikipedia

なぜ断行された?背景にある米国の経済事情

ニクソン・ショックが断行された背景には、当時のアメリカが抱えていた深刻な経済問題がありました。ベトナム戦争の戦費増大による財政悪化と、それに伴う米国内のインフレ進行が「ドルの供給過剰」を引き起こしていました。

さらに、莫大な貿易赤字が重なり、諸外国は手元にあるドルを金に交換しようと殺到。これにより、米国の金準備が危機的に減少したため、金本位制の維持が不可能と判断され、アメリカの国益を優先する形で急遽、金とドルの交換停止が宣言されたのです。

この新経済政策には、金とドルの交換停止の他にも、「10%の輸入課徴金」「90日間の賃金・物価凍結」といった緊急措置が含まれていました。(出典: 日本記者クラブ

その後どうなった?変動相場制への移行と金価格の動き

ニクソン・ショックの発表を受け、世界各国(日本を含む)は直後に外国為替市場を一時閉鎖しました。

その後、主要国蔵相会議を経て「スミソニアン協定」が結ばれるなど、国際通貨体制の再構築が図られましたが、最終的には変動相場制へと移行しました。これにより、金はドルとの固定レートから解放され、市場の需給によって価格が変動するようになりました。

金価格は国際的な政治・経済情勢、金利、為替、地政学リスク、インフレ期待など、多様な要因に影響されて大きく動くようになりました。

ニクソン・ショック直後の金価格は、1970年の固定価格35ドル/トロイオンスから、1973年には110〜130ドル台、1974年には180ドル前後へと急上昇しました。これは、金が「有事の金」として、経済の不確実性に対するヘッジ資産としての価値を再認識された結果とも言えます。(出典: unbanked

編集長・カナメ
編集長・カナメ

ニクソン・ショックは、単なる過去の出来事ではなく、現代のあらゆる資産価格の変動、特に金価格のダイナミックな動きの出発点であることを改めて感じます。この歴史的転換点がなければ、今の金市場の姿は全く違ったものになっていたでしょう。

3ステップで理解する!金の価格が決まるまでの全プロセス

次に、金が鉱山で採掘されてから、最終的に私たちの手元に届くまでの価格決定プロセスを、3つの主要なステップに分けて解説します。

金価格の「一生」を追いかける3つのステージ

金の価格は、単一の要因で決まるわけではありません。

まるで人間の一生のように、「誕生」「市場」「国内」という3つのステージを経て、その価値が形成されていきます。それぞれのステージで異なる要因が価格に影響を与え、最終的な小売価格へと繋がっていくのです。

ステップ1:【誕生の価格】国内で生まれる「山元建値」

最初のステージは、金が「誕生」する場所、つまり鉱山や精錬所から生まれる価格です。日本では、この段階で「山元建値」という日本独自の基準価格が設定されます。これは、国内の金産業の特殊性を反映した重要な指標です。

ステップ2:【市場の価格】世界が決める「国際価格」

次に、金は国際市場へと旅立ちます。世界の金取引の中心地であるロンドン市場で、需要と供給のバランスによって「国際価格」が決定されます。この国際価格が、世界中の金取引の基準となります。

ステップ3:【国内の価格】私たちが目にする「円建て価格」

そして最後のステージは、国際価格が私たちの国、日本で「円建て価格」へと変換されるプロセスです。ここでは、為替相場が重要な役割を果たし、国際価格がどのように日本の小売価格に反映されるかが決まります。

ステップ1:日本独自の源流「山元建値」は誰がどう決める?

ここでは、金価格決定プロセスの最初のステップである、日本独自の「山元建値」について、その定義や必要性、決定主体を深掘りします。

山元建値とは?国内大手メーカーが示す基準価格

「山元建値(やまもとたてね)」とは、住友金属鉱山などの国内大手非鉄金属メーカーが、日本国内の鉱山や精錬所を基準に毎営業日公表する、国産金の基準卸売価格のことです。

元来は「鉱山元」での出荷価格指標を意味し、住友金属鉱山や三菱マテリアルなどが主要な決定主体となっています。(出典: MONEX証券

ただし、この山元建値はあくまで国内の卸売価格の基準であり、実際に私たちが貴金属店などで目にする小売価格や買取価格には、商社や貴金属店が加える手数料、流通コスト、消費税などが加味されます。

そのため、田中貴金属工業や三菱マテリアルといった大手貴金属メーカーが公表する価格の方が、一般の消費者にとってはより直接的な影響源となる場合が多いでしょう。

なぜ必要?国際価格だけではダメな理由

国際的な金価格が存在するにもかかわらず、なぜ日本には「山元建値」という独自の価格指標が必要なのでしょうか。その理由は、日本の金市場の特殊性にあります。

日本では金の産出量が限られているため、国際価格と為替レートだけでなく、国内の需給バランス、流通コスト、そして産業用需要といった国内固有の要因を加味した「実勢」に合致する価格指標が求められるためです。

山元建値は、これらの国内事情を反映した、日本独自の重要な価格指標として根付いています。(出典: JOGMEC

代表的な企業「住友金属鉱山」と「菱刈鉱山」

山元建値を公表する代表的な企業の一つが「住友金属鉱山」です。同社は、日本最大の金鉱山である「菱刈鉱山」(鹿児島県)を100%保有・操業しています。

菱刈鉱山は、2025年3月期実績で金4.0トンを産出し、平均品位20g/t以上という世界的に見ても非常に高い品位を誇ります(世界平均は3〜5g/t)。

住友金属鉱山は、鉱山での採掘から精錬、そして流通まで一貫した事業を担っており、国内の金産業において極めて重要な役割を果たしています。(出典: 日本鉱業協会

編集長・カナメ
編集長・カナメ

山元建値は国内の金価格の源流を示す重要な指標ですが、私たちが実際に金を購入・売却する際の価格とは異なる点に注意が必要です。

この卸売価格と小売価格の間に存在するスプレッドを理解しておくことが、賢い取引には不可欠だと感じます。

あわせて読みたい:日本独自の価格「山元建値」の深層
この日本独自の価格「山元建値」が、誰によって、どのように決められているのか、さらに深く知りたい方は、こちらの記事が最適です。
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ステップ2:世界の基準「ロンドン市場」での価格決定の仕組みを徹底解説

次に、金価格決定プロセスの第2ステップ、世界の金取引の中心地であるロンドン市場での価格決定の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

なぜロンドン?歴史が育んだ世界最大の金市場

なぜニューヨークや東京ではなく、ロンドンが世界の金価格の中心地であり続けるのでしょうか。その理由は、19世紀以降の金融・現物取引におけるロンドンの伝統と歴史的蓄積にあります。

ロンドンは、欧州から米国までをカバーするタイムゾーンの優位性、そしてイングランド銀行の信頼性といった要素が重なり、現物市場として最大級の取引参加者と流動性を誇るようになりました。

この歴史的な背景と信頼性が、ロンドンを世界の金市場の中心に押し上げ、その地位を維持し続けているのです。(出典: なんぼや

価格決定の心臓部「LBMA(ロンドン貴金属市場協会)」とは

「LBMA(ロンドン貴金属市場協会)」は、1987年に設立された、ロンドン金市場の監督・規格認定・取引ルール策定を担う世界最大級の現物地金業界団体です。

LBMAは、ロンドンで現物取引される金地金「グッド・デリバリー・バー」の規格を審査・認定しており、この規格を満たした金地金は国際的に高い信頼性を持ちます。

LBMAに加盟する業者は全世界で100社以上にのぼり、その活動は世界の金市場の健全な発展に不可欠な役割を果たしています。(出典: BullionVault

1日2回開催!現在の「LBMA金価格オークション」のプロセス

現在の国際指標価格は、「LBMA金価格オークション」という電子オークション形式で決定されています。

これは、指定されたマーケットメーカー(大手ブリオンバンクなど)が毎日午前と午後の2回、オンラインで注文を出し、買いと売りの注文量が均衡する「価格」で合意すれば決定される仕組みです。

決定された価格は即座に世界中に配信され、世界の金取引の基準となります。

かつての不正の温床?「ゴールドフィキシング」からの変化

LBMA金価格オークションは、かつて行われていた「ゴールドフィキシング」に代わるものです。ゴールドフィキシングは、特定の5大銀行の代表者が対面で協議し、価格を合意する方式でした。

しかし、2010年代に価格操作疑惑が浮上し、金融危機時の透明性要請も相まって、各国規制当局や金融業界から透明化の要求が強まりました。

これを受け、2015年に電子オークション形式へと移行し、透明性と参加範囲が大幅に向上しました。(出典: EDINET

編集長・カナメ
編集長・カナメ

ロンドン市場の仕組みを深く掘り下げると、単に金価格を決定するだけでなく、その透明性と信頼性が世界の金取引全体を支えていることが分かります。

特に、グッド・デリバリー・バーのような厳格な規格が、金の普遍的な価値を担保しているのだと改めて認識しました。

あわせて読みたい:世界の中心「ロンドン市場」の役割
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ステップ3:計算式で納得!為替相場が「円建て価格」に与える影響

最後に、国際価格がどのように日本の「円建て価格」へと変換されるのか、その具体的な計算方法と、為替相場が与える影響について解説します。

計算の前に知るべき2つの国際ルール

ドル建ての国際価格から円建ての国内グラム単価を算出するには、まず2つの国際的なルールを理解しておく必要があります。

重量の単位「トロイオンス」とは? (1トロイオンス = 31.1035g)

金の国際取引で使われる重量単位は「トロイオンス」です。これは、一般的なオンスとは異なり、1トロイオンスあたり約31.1035グラムと日本の計量法で定められています。

国際価格は「ドル/トロイオンス」で表示されるため、グラム単位に換算する際にはこの数値を使用します。(出典: 藤富

為替レートの種類「TTS」とは? (仲値との違い)

為替レートには様々な種類がありますが、金価格の計算で参照されるのは「TTS(対顧客電信売相場)」です。これは、銀行が顧客に外貨(ドル)を売る際のレートであり、新聞などで発表される銀行間の基準レート「仲値(TTM)」よりも高めに設定されています。

実際に金を購入する際には、このTTSが適用されるため、仲値との違いを理解しておくことが重要です。(出典: チェスター税理士法人

【実践】ドル建て国際価格から円建てグラム単価への換算式

それでは、具体的な計算式を見ていきましょう。国際価格が4,000ドル/トロイオンス、TTSが1ドル=150円の場合を例に、円建てグラム単価を算出します。

計算式: 円建てグラム価格 = (国際価格[ドル/トロイオンス] ÷ 31.1035) × TTS[円/ドル]

計算例: (4,000ドル ÷ 31.1035グラム) × 150円 = 約19,300円/グラム

計算ステップ:

  1. トロイオンスあたりのドル価格をグラム換算します。(4,000ドル ÷ 31.1035グラム)
  2. グラムあたりのドル単価に、TTS(円/ドル)を乗算します。

この計算により、国際価格がドル建てであっても、私たちが日本国内で取引する際の円建てグラム単価を正確に把握することができます。(出典: unbanked

シミュレーション:円安が金価格を押し上げるメカニズム

「円安になると国内の金価格が上がる」とよく言われますが、上記の計算式を理解すればそのメカニズムが明確になります。

例えば、国際価格が4,000ドル/トロイオンスで変わらないと仮定します。

  • 1ドル=100円の場合: (4,000ドル ÷ 31.1035) × 100円 = 約12,860円/グラム
  • 1ドル=150円の場合: (4,000ドル ÷ 31.1035) × 150円 = 約19,300円/グラム

このように、国際価格が同じでも、為替レートが円安(ドル高円安)に進むと、円に換算した際の金価格は大きく上昇します。

これは、同じドルをより多くの円で買うことになるため、結果として金の円建て価格が押し上げられるためです。SNS上でも

「最近、NYは金下がったのに国内は上昇…計算式みて納得。1ドル動くと数百円違うって投資するまで知らなかった。」

といった声が見られ、多くの人がこのメカニズムに驚きと納得を感じています。

あわせて読みたい:ドル円と金価格の計算式
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金価格はなぜ動く?価格に影響を与える5つの変動要因

金価格は、様々な要因が複雑に絡み合って変動します。ここでは、特に重要な5つの変動要因について解説します。

要因1:金利(特に米国の政策金利)

金は、株式や債券のように利息や配当を生みません。そのため、金利が上昇すると、利息を生む他の金融商品の魅力が増し、相対的に金の魅力が低下して価格が下落する傾向があります。

特に、世界の基軸通貨である米ドルの金利動向は、金価格に大きな影響を与えます。

要因2:為替相場(ドル/円)

前述の通り、金はドル建てで取引されるため、ドル/円の為替相場は日本の円建て金価格に直接的な影響を与えます。

円安(ドル高円安)は円建て金価格を押し上げ、円高(ドル安円高)は円建て金価格を押し下げる要因となります。

要因3:世界情勢(地政学リスク)

戦争やテロ、大規模な自然災害など、世界情勢が不安定になると、投資家はリスク回避のために安全資産とされる金に資金を移動させる傾向があります。

これにより、金の需要が高まり、価格が上昇することがあります。これを「有事の金」と呼びます。

要因4:インフレ懸念

インフレ(物価上昇)が進むと、通貨の価値が相対的に低下します。金は実物資産であるため、インフレヘッジ(インフレによる資産価値の目減りを防ぐ)として注目され、インフレ懸念が高まると金価格が上昇する傾向があります。

要因5:需給バランス

金の価格は、他の商品と同様に需要と供給のバランスによっても変動します。

宝飾品や工業用としての需要、中央銀行による金の購入・売却、鉱山からの産出量などが、需給バランスに影響を与えます。

編集長・カナメ
編集長・カナメ

金価格に影響を与える5つの要因を比較すると、日本の個人投資家にとって最も身近で、かつ影響を実感しやすいのはやはり「為替相場」ではないでしょうか。

国際価格が安定していても、円安が進めば国内価格が上昇するという現象は、多くの人が経験していることだと感じます。

金の価格決定に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、金の価格決定に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q
Q1: 金の価格はどこで見ることができますか?
A

A1: 貴金属店のウェブサイト(田中貴金属工業、三菱マテリアルなど)や、経済ニュースサイトで確認できます。国際価格はLBMAの公式サイトで公表されています。

Q
Q2: 金の価格に消費税はかかりますか?
A

A2: はい、日本国内で金を購入する際には消費税がかかります。売却する際はかかりません。

Q
Q3: 「金ETF」や「投資信託」の価格も同じ仕組みで決まるのですか?
A

A3: いいえ、金ETFや投資信託の価格(基準価額)は、連動対象である金価格の変動に加え、信託報酬や運用コストなどが反映されて決まります。

また、金ETFには為替変動リスクを抑える「為替ヘッジ型」と、為替変動の影響を受ける「為替非ヘッジ型」があり、それぞれ価格の動き方が異なります。国内に上場している金ETFの場合、現物を受け取らない限り消費税は非課税となる点も、現物取引との違いとして挙げられます。

まとめ:金の価格はグローバルな仕組みと国内の要因で決まる

本記事では、金価格の決め方について、その歴史的背景から国際的な決定プロセス、そして国内価格への影響までを網羅的に解説しました。最後に、本記事の要点を振り返り、あなたの次の一歩を明確にしましょう。

金の価格の決まり方【総復習】

  • 歴史の転換点: 1971年のニクソン・ショックにより、金とドルの固定相場制が終わり、金価格は市場の需給によって変動するようになりました。
  • 価格決定の3ステップ:
    1. 誕生(山元建値): 日本の鉱山や精錬所を基準に、国内大手メーカーが公表する基準卸売価格です。国内の需給や流通コストを反映しています。
    2. 市場(国際価格): 世界最大の金市場であるロンドン市場で、LBMA金価格オークションを通じて世界の基準価格(ドル建て)が決定されます。
    3. 国内(円建て価格): 国際価格を為替レート(TTS)で円換算することで、私たちが日本国内で目にする円建てグラム単価が算出されます。
  • 主な変動要因: 金価格に影響を与える要因は多岐にわたりますが、特に「米国の金利」と「為替相場(ドル/円)」が重要です。世界情勢の不安定化(地政学リスク)やインフレ懸念も、金の需要を高め価格を押し上げる要因となります。

この知識をどう活かすか

  • 金の価格ニュースを見るとき、それが「国際価格」の話なのか、「国内価格」の話なのかを区別できるようになります。
  • 円安・円高が、なぜ自分の持っている金の価値に影響するのかを、論理的に理解できるようになります。
  • 長期的な視点で、価格変動の背景を読み解く力が身につきます。この知識は、金投資を検討する際や、資産保全の戦略を立てる上で、きっとあなたの強力な武器となるでしょう。

▼ 金価格の決め方に関連する記事

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