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【速報解説】自民維新連立政権、合意書から読む経済・安保政策の未来

上昇するグラフと国会議事堂のイラストを背景に「【速報解説】自民・維新連立であなたのお金と投資はどうなる?」と書かれた画像。自民・維新連立政権の経済への影響を示している。 自民維新連立
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2025年10月20日、日本の政治が大きく動きました。自民党と日本維新の会による「自民・維新連立政権」が正式に発足し、高市早苗氏を首班とする新政権が誕生します。

長年続いた自公連立が解消され、新たなパートナーシップが始まった今、多くの人が「私たちの生活や資産はどうなるんだろう?」と不安や期待を抱いているのではないでしょうか。

特に金融や投資に携わる方にとって、新政権の経済政策や安全保障方針は、今後の資産形成を左右する重要な要素です。

この記事では、両党が交わした「連立政権合意書」の全文を基に、特に私たちのお金と投資に直結する「経済財政」「安全保障」のポイントを、金融ブログの視点から徹底的に、そして分かりやすく解説します。「高市政権で何が変わるのか」「自維連立の政策で注目すべき点は何か」といった疑問に、どこよりも深くお答えします。

この記事でわかること

  • 減税や社会保険料見直しで「あなたの手取り」がどう変わるかの具体像
  • 投資家が警戒すべき「金融所得課税」強化の可能性
  • 防衛費増で注目される新しい投資テーマと関連分野
  • 新しい自民・維新連立政権の財政規律と市場のリアルな反応のすべて

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  1. 【最重要】自民・維新連立で「私たちのお金」はどうなる?合意書から5つのポイントを解説
    1. ポイント1:トリプル減税が実現?ガソリン・所得税・消費税の行方
    2. ポイント2:社会保険料は下がる?現役世代の負担軽減策の現実味
    3. ポイント3:【投資家注目】「金融所得の反映」とは?増税の布石か
    4. ポイント4:「給付付き税額控除」とは?低所得者層支援の新しい形
    5. ポイント5:財源はどこから?「政府効率化局」が目指す歳出改革
  2. 【投資テーマ】地政学リスクとビジネスチャンスが交錯する安全保障政策
    1. 防衛費はさらに拡大へ:「安保3文書」前倒し改定が意味するもの
    2. 武器輸出が本格化?「防衛装備移転三原則」撤廃のビジネスインパクト
    3. 投資家が注目すべき防衛関連・サイバーセキュリティ分野とは
    4. 忘れてはならない地政学リスクと海外投資家の視点
  3. 市場はどう見た?日経平均4万9,000円台と専門家の冷静な視点
    1. 「ご祝儀相場」か本物か?株価上昇の背景にある2つの期待
    2. 財務省の本音と市場の懸念:「積極財政」vs「財政規律」の綱引き
    3. 各紙社説・アナリストが指摘する新政権の「期待」と「リスク」
  4. いまさら聞けない「自民・維新連立政権」に関するQ&A
  5. まとめ:自民・維新連立政権下で投資家が心得るべき3つの視点
    1. 本記事で解説した重要ポイント

【最重要】自民・維新連立で「私たちのお金」はどうなる?合意書から5つのポイントを解説

自民党と日本維新の会が20日に交わした「連立政権合意書」の全文は次の通り。
引用:日本経済新聞

自民党および日本維新の会は、わが国が内外ともにかつてなく厳しい状況にある中、国家観を共有し、立場を乗り越えて安定した政権を作り上げ、国難を突破し、「日本再起」を図ることが何よりも重要であるという判断に立ち、「日本の底力」を信じ、全面的に協力し合うことを決断した。

戦後最も厳しく複雑な国際安全保障環境を乗り越えるためには、日本列島を強く豊かにし、誇りある「自立する国家」としての歩みを進める内政および外政政策を推進せねばならない。

わが国は、「自立する国家」として、日米同盟を基軸に、極東の戦略的安定を支え、世界の安全保障に貢献する。わが国には、そのような覚悟に加え、安全保障環境の変化に即応し、「国民をどう守るか」「わが国の平和と独立をどう守るか」というリアリズムに立った視座が不可欠である。両党は、このリアリズムに基づく国際政治観および安全保障観を共有する。

また、両党は、国民の生活が経済成長によって向上されることの認識を共有する。そのために、責任ある積極財政に基づく効果的な官民の投資拡大を進めつつ、肥大化する非効率な政府の在り方の見直しを通じた歳出改革を徹底することによって、社会の課題を解決することを目指す。

戦後80年にわたり、国のかたちを作り上げる過程で積み残してきた宿題を解決すると同時に、冷戦後の30年の厳しい経済状況を乗り越え、国民生活を向上させる過程で積み残してきた宿題を解決するための改革が急務である。

そのための方策として、国民に寄り添った経済対策などの速やかな実現に加え、憲法改正や安全保障改革、社会保障改革、統治機構改革を含む中長期にわたる日本社会の発展の基盤となる構造改革の推進について、本合意に至った。

これらの政策の実現には、できるだけ幅広い賛同を得ることが重要であり、他党とも真摯(しんし)な議論を重ねていくことは言うまでもないが、本合意書の内容を精緻化するため、両党による実務者協議体を設置し、確実な履行を図ることとする。

また、本合意書の内容を実現するため、2025年臨時国会における内閣総理大臣指名選挙の連携に基づく協力を誓い、連立政権を樹立する。

一、経済財政関連施策

▽ガソリン税の旧暫定税率廃止法案を25年臨時国会中に成立させる。

▽電気ガス料金補助をはじめとする物価対策を早急に取りまとめ、25年臨時国会において補正予算を成立させる。

▽インフレ対応型の経済政策に移行するために必要な総合的対策を、早急に取りまとめ、実行に移す。とりわけ、所得税の基礎控除などをインフレの進展に応じて見直す制度設計については、25年内をめどに取りまとめる。給付付き税額控除の導入につき、早急に制度設計を進め、その実現を図る。

▽租税特別措置および高額補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止する。そのための事務を行う主体として政府効率化局(仮称)を設置する。

▽飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う。

▽子どもや住民税非課税世帯の大人には一人4万円、その他の人たちには一人2万円を給付するという政策は行わないものとする。

二、社会保障政策

▽「OTC類似薬」を含む薬剤自己負担の見直し、金融所得の反映などの応能負担の徹底など、25年通常国会で締結したいわゆる「医療法に関する3党合意書」および「骨太方針に関する3党合意書」に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を25年度中に実現しつつ、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す。

▽社会保障関係費の急激な増加に対する危機感と、現役世代を中心とした過度な負担上昇に対する問題意識を共有し、この現状を打破するための抜本的な改革を目指して、25年通常国会より実施されている社会保障改革に関する合意を引き継ぎ、社会保障改革に関する両党の協議体を定期開催するものとする。

▽25年度中に、以下を含む社会保障改革項目に関する具体的な骨子について合意し、26年度中に具体的な制度設計を行い、順次実行する。

(1)保険財政健全化策推進(インフレ下での医療給付費の在り方と、現役世代の保険料負担抑制との整合性を図るための制度的対応)

(2)医療介護分野における保険者の権限および機能の強化並びに都道府県の役割強化(①保険者の再編統合②医療介護保険システムの全国統合プラットフォームの構築③介護保険サービスにかかる基盤整備の責任主体を都道府県とするなど)

(3)病院機能の強化、創薬機能の強化、患者の声の反映およびデータに基づく制度設計を実現するための中央社会保険医療協議会の改革

(4)医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な応能負担の実現

(5)年齢にかかわらず働き続けることが可能な社会を実現するための「高齢者」の定義見直し

(6)人口減少下でも地方の医療介護サービスが持続的に提供されるための制度設計

(7)国民皆保険制度の中核を守るための公的保険の在り方および民間保険の活用に関する検討

(8)大学病院機能の強化(教育、研究および臨床を行う医療従事者として適切な給与体系の構築など)

(9)高度機能医療を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善(診療報酬体系の抜本的見直し)

(10)配偶者の社会保険加入率上昇および生涯非婚率上昇などをも踏まえた第3号被保険者制度などの見直し

(11)医療の費用対効果分析にかかる指標の確立

(12)医療機関の収益構造の増強および経営の安定化を図るための医療機関の営利事業の在り方の見直し

(13)医療機関における高度医療機器および設備の更新などにかかる現在の消費税負担の在り方の見直し

▽昨今の物価高騰に伴う病院および介護施設の厳しい経営状況に鑑み、病院および介護施設の経営状況を好転させるための施策を実行する。

三、皇室・憲法改正・家族制度など

▽古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえ、現状の継承順位を変更しないことを前提とし、安定的な皇位継承のため、皇室の歴史に整合的かつ現実的である「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として、26年通常国会における皇室典範の改正を目指す

▽日本維新の会の提言「21世紀の国防構想と憲法改正」を踏まえ、憲法9条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する。設置時期は、25年臨時国会中とする。

▽緊急事態条項(国会機能維持および緊急政令)について憲法改正を実現すべく、25年臨時国会中に両党の条文起草協議会を設置し、26年度中に条文案の国会提出を目指す。

▽可及的速やかに、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設する。

▽憲法改正の発議のために整備が必要な制度(例=国民投票広報協議会の組織および所掌事務などにかかる組織法ならびにCM規制およびネット規制などにかかる作用法など)について制度設計を行う。

▽戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する。そのために、旧姓の通称使用の法制化法案を26年通常国会に提出し、成立を目指す。

▽26年通常国会において、「日本国国章損壊罪」を制定し、「外国国章損壊罪」のみ存在する矛盾を是正する。

四、外交・安全保障

▽戦後最も厳しく複雑な戦略環境の変化に伴い、戦略3文書を前倒しで改定する。

▽国際社会における平和を構築する新たな外交手段を涵養(かんよう)する観点から、25年度中に、外務省に和平調停にかかる部署を創設する

▽わが国の抑止力の大幅な強化を行うため、スタンド・オフ防衛能力の整備を加速化する観点から、反撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備および陸上展開先の着実な進展を行うと同時に、長射程のミサイルを搭載し長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦の保有にかかる政策を推進する。

▽自衛隊の運用にかかる組織の効率化および統合作戦司令部の一元的指揮統制の強化のため、自衛隊の区域統合および中間結節点の簡素化などを着実に実施する。

▽防衛生産・技術基盤を強化する観点から、26年通常国会において「防衛装備移転三原則の運用指針」の5類型を撤廃し、防衛産業にかかる国営工廠(こうしょう)および国有施設民間操業に関する施策を推進する。

▽自衛官の採用状況に関する深刻な情勢に対する危機感と、処遇改善を含む人的基盤の抜本的強化、自衛官の自衛官たる矜持(きょうじ)を向上するための施策の必要性を共有し、現下の状況を打破するための抜本的な改革を目指して、自衛官の恩給制度の創設を検討する。また、現在の自衛隊の「階級」「服制」および「職種」などの国際標準化を26年度中に実行する。

五、インテリジェンス政策

▽わが国のインテリジェンス機能が脆弱(ぜいじゃく)であり、インテリジェンスに関する国家機能の強化が急務であるという認識を共有し、総合的なインテリジェンス改革について協議し、合意した施策について実行する。

▽26年通常国会において、内閣情報調査室および内閣情報官を格上げし、「国家情報局」および「国家情報局長」を創設する。安全保障領域における政策部門および情報部門を同列とするため、「国家情報局」および「国家情報局長」は、「国家安全保障局」および「国家安全保障局長」と同格とする。

▽現在の「内閣情報会議」(閣議決定事項)を発展的に解消し、26年通常国会において、「国家情報会議」を設置する法律を制定する。

▽27年度末までに独立した対外情報庁(仮称)を創設する。

▽情報要員を組織的に養成するため、27年度末までに、インテリジェンス・コミュニティー横断的(省庁横断的)な情報要員(インテリジェンス・オフィサー)養成機関を創設する。

▽インテリジェンス・スパイ防止関連法制(基本法、外国代理人登録法およびロビー活動公開法など)について25年に検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させる。

六、エネルギー政策

▽電力需要の増大を踏まえ、安全性確保を大前提に原子力発電所の再稼働を進める。また、次世代革新炉および核融合炉の開発を加速化する。地熱などわが国に優位性のある再生可能エネルギーの開発を推進する。

▽国産海洋資源開発(エネルギー資源および鉱物資源)を加速化する。

七、食料安全保障・国土政策

▽食料の安定供給確保が、国民の生存に不可欠であることの認識を共有し、全ての田畑を有効活用する環境を整え、厳しい気候に耐え得る施設型食料生産設備(いわゆる植物工場および陸上養殖など)への大型投資を実現する。

▽わが国が古来より育んできた美しい国土を保全する重要性を確認し、森林伐採や不適切な開発による環境破壊および災害リスクを抑制し、適切な土地利用および維持管理を行う観点から、26年通常国会において、大規模太陽光発電所(メガソーラー)を法的に規制する施策を実行する。

八、経済安全保障政策

▽南西諸島における海底ケーブルの強靱(きょうじん)性を強化するための施策を推進する。

九、人口政策および外国人政策

▽わが国最大の問題は人口減少という認識に立ち、25年臨時国会中に、政府に人口減少対策本部(仮称)を立ち上げ、子ども子育て政策を含む抜本的かつ強力な人口減少対策を検討、実行する。

▽ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応することが、日本社会になじみ貢献している外国人にとっても重要という考えに基づき、以下の対策を講じる。

(1)内閣における司令塔を強化し、担当大臣を置く。

(2)外国人比率が高くなった場合の社会との摩擦の観点からの在留外国人に関する量的マネジメントを含め、外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を明記した「人口戦略」を26年度中に策定する。

(3)外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化する。

(4)外国人に関する制度の誤用・濫用・悪用への対応を強化する。

▽26年通常国会で、対日外国投資委員会(日本版CFIUS)の創設を目指す。また、26年通常国会で、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案を策定する。

十、教育政策

▽いわゆる高校無償化を26年4月から実施するため、残る課題について、25年10月中に合意し、制度設計を確定させる。

▽小学校給食無償化を26年4月から実施するため、残る課題について整理し、制度設計を確定させる。

▽25年通常国会で締結した「3党合意」における保育料負担軽減をはじめ、子育て支援施策の大幅な拡充を実現する

▽25年通常国会で締結した「3党合意」の通り、高校教育改革のグランドデザインを策定し、全国での教育機会確保と教育の質の向上を実現する。

▽人口減少に伴い、大学数および規模の適正化を図ることを目指す。

▽科学技術創造立国の礎となる基礎研究について、十分な研究費を確保するため、科研費を大幅に拡充する。

十一、統治機構改革

▽首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築し、首都機能分散および多極分散型経済圏を形成する観点から、25年臨時国会中に、両党による協議体を設置し、首都および副首都の責務および機能を整理した上で、早急に検討を行い、26年通常国会で法案を成立させる。

十二、政治改革

▽企業団体献金の取り扱いについては、自民党は「禁止より公開」、日本維新の会は「完全廃止」を主張してきた。特定の企業団体による多額の献金が政策の意思決定をゆがめるのではないかという懸念を払拭し、国民に信頼される政治資金の在り方を追求し、そのための制度改革が必要であるとの課題意識は共有しつつも、現時点で最終結論を得るまでに至っていない。そこで、両党で、企業団体からの献金、政治団体からの献金、受け手の規制、金額上限規制、機関誌などによる政党の事業収益および公開の在り方などを含め、政党の資金調達の在り方について議論する協議体を25年臨時国会中に設置するとともに、第三者委員会において検討を加え、高市総裁の任期中に結論を得る。

▽政党におけるガバナンスを明確化するため、政党法について検討を進める。

▽1割を目標に衆院議員定数を削減するため、25年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す。

▽時代に合った選挙制度を確立するため、両党は衆院議院運営委員会に設置された「衆議院選挙制度に関する協議会」などあらゆる場で議論を主導し、小選挙区比例代表並立制の廃止や中選挙区制の導入なども含め検討する。そのため、25年度中に、両党による協議体を設置する。

右記以外の政策については、両党間で誠心誠意協議するものとする。

ここでは、新しい自民・維新連立政権の政策のうち、私たちの家計や資産に最も直接的な影響を与える経済・社会保障分野の重要ポイントを解説します。減税の恩恵から、投資家が注意すべき点まで、合意書から読み解いていきましょう。

ポイント1:トリプル減税が実現?ガソリン・所得税・消費税の行方

今回の合意で最も注目されるのが、国民の負担を直接軽減する減税策です。

まず、ガソリン税の旧暫定税率を廃止する法案を2025年の臨時国会中に成立させる方針が明記されました。これにより、ガソリン価格がリッターあたり約25円下がる可能性があり、家計や物流コストの削減に繋がります。

さらに、インフレに対応するため、所得税の基礎控除を見直す制度設計を2025年内に取りまとめるとしています。これは実質的な所得税減税であり、特に中間層の手取りを増やす効果が期待されます。

そして最大のサプライズは、飲食料品の消費税を2年間に限りゼロにすることも視野に検討するという項目です。実現すれば大規模な景気刺激策となりますが、財源確保が大きな課題となるため、今後の議論を注視する必要があります。

ポイント2:社会保険料は下がる?現役世代の負担軽減策の現実味

増え続ける社会保険料は、現役世代にとって大きな負担です。新政権は、この問題に切り込む姿勢を見せています。

合意書では、社会保障全体の改革を推進することで、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」と明確に掲げられました。

そのための具体策として、医療制度改革や、年齢によらない公平な負担(応能負担)の実現などが挙げられています。しかし、高齢化が進む中で保険料を引き下げるのは非常に困難な道です。財源をどう確保し、どの世代にどの程度の負担を求めるのか、2026年度中に行うとされる具体的な制度設計が最大の焦点となります。

ポイント3:【投資家注目】「金融所得の反映」とは?増税の布石か

投資家として最も注意深く読むべき一文が、社会保障政策の項目にありました。

それは、医療制度改革において「金融所得の反映などの応能負担の徹底」を進めるという部分です。これは、医療保険料などを算定する際に、株や投資信託の利益といった金融所得を今よりも強く反映させることを意味します。(出典: 日本経済新聞)

現時点では社会保険料への反映に留まる可能性がありますが、将来的には金融所得課税そのものの強化に繋がるのではないか、という懸念を抱く投資家は少なくありません。この動きは個人の投資行動や市場全体に影響を与えるため、今後の具体的な制度設計から目が離せません。

【用語解説】応能負担
その人の支払い能力(所得や資産)に応じて負担を求めるという考え方です。所得が高い人ほど、税金や社会保険料の負担額や負担率が高くなるように設計されています。

ポイント4:「給付付き税額控除」とは?低所得者層支援の新しい形

合意書には「給付付き税額控除の導入につき、早急に制度設計を進め、その実現を図る」とあります。これは、今後の日本の税制の大きな転換点になるかもしれません。

この制度の導入は、所得の再分配機能を強化し、経済格差の是正を目指すものです。どのような設計になるかによって、消費全体を底上げする効果も期待されます。

【用語解説】給付付き税額控除
所得税額から一定額を差し引く(控除する)仕組みの一つです。最大の特徴は、控除額が本来納めるべき税額より大きい場合、その差額が現金で給付される点です。所得が低く税金を納めていない人にも支援が届くため、効果的な低所得者対策とされています。

ポイント5:財源はどこから?「政府効率化局」が目指す歳出改革

大規模な減税や支援策を打ち出す一方で、財源の確保も大きな課題です。

新政権は、そのための具体策として「政府効率化局(仮称)」を設置し、効果の低い補助金や租税特別措置を総点検し、廃止する方針です。

これは、維新が掲げる「小さな政府」「身を切る改革」の理念が反映されたものと言えます。ただし、既得権益との衝突も予想され、歳出改革が減税規模に見合うだけの財源を生み出せるかは未知数です。市場は、この歳出改革の本気度を厳しく見守ることになるでしょう。

【投資テーマ】地政学リスクとビジネスチャンスが交錯する安全保障政策

ここでは、金融市場に大きな影響を与える安全保障・防衛政策の転換点を解説します。新しい自民・維新連立政権の誕生は、日本の防衛産業にとって大きな追い風となる一方、地政学的なリスクを意識する必要もあります。

防衛費はさらに拡大へ:「安保3文書」前倒し改定が意味するもの

合意書では、国家の防衛方針を示す最も重要な文書である「安保3文書」を前倒しで改定することが明記されました。

これは、現在の防衛計画をさらに加速・強化する強い意志の表れです。具体的には、「反撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備」を加速させるとしており、これは防衛費のさらなる拡大に直結する可能性が高いと考えられます。(出典: 日本経済新聞)

【用語解説】安保3文書
日本の安全保障政策の根幹をなす3つの文書の総称です。①国家安全保障戦略(NSS)、②国家防衛戦略、③防衛力整備計画から構成されます。外交から防衛力の具体的な整備計画までを網羅しています。

武器輸出が本格化?「防衛装備移転三原則」撤廃のビジネスインパクト

投資家にとって最も注目すべきは、「防衛装備移転三原則の運用指針」の5類型を撤廃するという項目です。

これは、事実上、日本の武器輸出に関する規制を大幅に緩和することを意味します。これまで救難や輸送などに限定されていた装備品の輸出が、より広い範囲で可能になる可能性があります。

この政策転換は、日本の防衛産業が国内需要だけでなく、海外市場へ本格的に進出する道を開くものであり、関連企業にとっては巨大なビジネスチャンスとなる可能性があります。

投資家が注目すべき防衛関連・サイバーセキュリティ分野とは

これらの方針転換を受け、株式市場では防衛関連銘柄への関心が一層高まると予想されます。

具体的には、ミサイルや航空機、艦船などを製造する大手重工業はもちろん、それらに部品や技術を提供する特殊な技術を持つ中堅企業にも注目が集まるでしょう。

また、安全保障は物理的な防衛だけではありません。合意書では「インテリジェンス機能の強化」や「国家情報局」の創設も掲げられており、サイバーセキュリティや情報通信、宇宙開発といった分野も、経済安全保障の観点から重要性が増していくと考えられます。

忘れてはならない地政学リスクと海外投資家の視点

一方で、こうした強硬な安全保障政策は、諸刃の剣でもあります。

日本の防衛力強化や武器輸出の緩和は、周辺諸国との緊張を高める可能性があります。地政学リスクの高まりは、市場の不確実性を増大させ、特に海外投資家の投資マインドを冷え込ませる要因となり得ます。

国内の防衛産業にとっては追い風でも、日本市場全体で見れば、地政学リスクという重石を常に意識する必要があるでしょう。

市場はどう見た?日経平均4万9,000円台と専門家の冷静な視点

ここでは、自民・維新連立政権の誕生に対する市場のリアルな反応と、その背景にある専門家の見方を解説します。株価の「ご祝儀相場」に浮かれるだけでなく、その裏にある期待と懸念を冷静に分析します。

「ご祝儀相場」か本物か?株価上昇の背景にある2つの期待

連立政権樹立の報道を受け、東京株式市場は即座に反応しました。日経平均株価は史上初となる4万9,000円台に乗せ、市場は新政権を歓迎するムードに包まれました。(出典: YouTube)

この株価上昇の背景には、主に2つの期待があります。
一つは、衆議院で安定した多数を確保することによる「政治の安定」への期待です。重要法案がスムーズに可決されることで、経済政策が迅速に実行されるという見方です。

もう一つは、維新が連立に加わることによる「改革への期待」です。歳出削減や規制緩和といった構造改革が進むのではないか、という思惑が買いを呼んだ形です。

財務省の本音と市場の懸念:「積極財政」vs「財政規律」の綱引き

一方で、市場関係者や専門家は、手放しで楽観しているわけではありません。

ロイター通信によると、財務省関係者は維新の存在が「過度な財政拡張を抑える効果が期待できる」と、その財政規律志向を歓迎していると報じられています。(出典: ロイター)

これは、高市総裁の「積極財政」路線と、維新の「小さな政府」路線が、今後の予算編成で衝突する可能性を示唆しています。減税などの財政出動と、財政規律の維持という難しいバランスをどう取るのか、市場はこの綱引きの行方を注視しています。

各紙社説・アナリストが指摘する新政権の「期待」と「リスク」

各メディアの社説やアナリストのレポートを総合すると、新政権への評価は「期待」と「リスク」が併記される形で報じられています。

期待されるのは、これまで自公政権では進まなかった憲法改正や安全保障政策が大きく前進することや、維新が持つ都市部や若年層への支持拡大です。

一方でリスクとして指摘されるのは、維新が強く求める衆院定数削減などを巡る自民党内での対立や、閣僚を出さない「閣外協力」という形態が、重要政策の実行段階で曖昧な責任体制に繋がるのではないかという懸念です。

ここまで新政権が掲げる政策の全体像を見てきました。しかし、これらの政策を実際に動かすのは、各分野を担当する大臣です。
特に今回の組閣で「経済安全保障・外国人政策」という重要ポストに抜擢され、大きな注目を集めているのが小野田紀美氏です。
なぜ無派閥の彼女が大臣に選ばれたのか?SNSで「筋が通る」と評されるその政策思想の核心とは何か?新政権のキーパーソンを深く知りたい方は、こちらの解説記事もぜひご覧ください。
→【どんな人?】新大臣・小野田紀美氏とは。経歴と注目の外国人政策を解説

いまさら聞けない「自民・維新連立政権」に関するQ&A

ここでは、今回の政権交代に関する素朴な疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。政策の背景にある政局の動きを知ることで、ニュースへの理解がさらに深まります。

Q
Q1: なぜ長年続いた公明党との連立を解消したのですか?
A

A1: 直接的な原因は「政治とカネ」の問題を巡る対立です。公明党は企業・団体献金の規制強化などを求めましたが、自民党が明確な回答を示さなかったため、関係が悪化しました。(出典: 日本経済新聞)
また、背景には、防衛政策や憲法改正に対する考え方の違いが根本的にあったことも指摘されています。

Q
Q2: 「閣外協力」って、普通の連立と何が違うのですか?
A

A2: 大きな違いは、日本維新の会から大臣を出さない点です。通常の連立政権では、連立を組む各党から大臣(閣僚)を出しますが、「閣外協力」では、大臣は出さずに国会での法案採決などで政府・与党に協力する形を取ります。維新としては、政権運営の責任を一部負いながらも、是々非々で対応できる余地を残す狙いがあるとみられます。(出典: 毎日新聞)

Q
Q3: この新しい連立は長続きするのでしょうか?
A

A3: それは現時点では誰にも分かりませんが、いくつかの火種を抱えていることは事実です。例えば、維新が公約として掲げる「衆議院の定数削減」は、自民党内に強い反対論があります。また、経済政策においても「積極財政」を志向する高市総裁と、「財政規律」を重んじる維新との間で、将来的に意見が対立する可能性があります。

Q
Q4: 次の選挙にはどのような影響がありますか?
A

A4: 大きな影響が予想されます。これまで自民党は、公明党・創価学会の強力な集票力に支えられてきました。その協力がなくなる一方で、都市部や無党派層に強い維新と組むことで、新たな支持層を獲得できる可能性があります。特に、これまで維新が強かった大阪などの関西圏や、都市部の選挙区で、両党の候補者調整がどう進むかが焦点となります。

まとめ:自民・維新連立政権下で投資家が心得るべき3つの視点

ここでは、この記事で解説してきた内容を総括し、新しい政権の下で私たち投資家が持つべき視点を3つに整理します。変化の時代を乗り切るための羅針盤としてご活用ください。

本記事で解説した重要ポイント

  • 連立政権発足: 2025年10月20日、自民・維新が連立政権樹立で合意。高市新政権が発足する。
  • 家計への影響: ガソリン税廃止や所得税減税で手取り増の期待。飲食料品の消費税ゼロも検討。
  • 社会保険料: 現役世代の負担軽減を目指すが、実現へのハードルは高い。
  • 金融所得への視線: 保険料算定に金融所得をより反映させる方針。将来の増税議論に繋がる可能性も。
  • 安全保障の転換: 安保3文書を前倒しで改定し、防衛費はさらに拡大する見込み。
  • 防衛産業: 武器輸出の大幅緩和により、関連企業には大きなビジネスチャンスが到来する可能性がある。
  • 市場の反応: 政治安定と改革への期待から日経平均は4万9,000円台に乗せる「ご祝儀相場」に。
  • 財政への懸念: 「積極財政」と「財政規律」のバランスが今後の焦点。
  • 自公解消の背景: 「政治とカネ」を巡る対立が直接的な原因。
  • 協力の形: 維新は大臣を出さない「閣外協力」で政権に協力する。

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